【聖書個所:マタイ福音書 16章17節/口語訳】
「イエスは彼にむかって言われた、『バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこの事をあらわしたのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父である。』」
この御言葉は、ペテロが「あなたこそ、生ける神の子キリストです」と主告白をした時に、イエスがペテロに語った言葉である。
バルヨナ・シモン。シモンとはペテロの名前。では、バルヨナとは何か。バルとは「子、子孫」を意味する。すなわち「ヨナの子」という意味である。ヨナは旧約聖書に登場する預言者で、魚の腹の中で三日過ごした後に陸に戻され、預言者としての使命を果たすという体験をした。そのヨナについて、イエスはこうも語る。「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。」(マタ12:39)。「ヨナのしるし」とはそのヨナの体験であり、またイエス自身が十字架の死と、三日目に復活したことを指している。イエスはヨナに例えて御自身の死と復活と言うしるしを語られたのである。すなわち、イエスは御自身をヨナに例えられた。
そしてペテロがイエスをキリストであると告白する時、彼を「ヨナの子」と呼ぶ。また私たちも主告白に導かれる時、イエスは私たちを「バルヨナ」と呼んで下さるだろう。その恵みに私たちは招かれているのである。